歌がイヤだ。

「グスコーブドリの伝記」を観て来た。
前作（？）の「銀河鉄道の夜」が好きだったが、
こちらではＣＧも駆使されて更にパワーアップ、
風景描写も色合いも美しくて良かった。
母は宮沢賢治が大好きで、
ラジオを録音したカセットが何本か家にあった。
「星めぐりの歌」をドラマ仕立てにしたものなどは
実物の星空を映像で見せられるよりも
脳内に広がる想像の星空の物語の方が美しく、
（ど近眼だからもはや本物の星空を楽しめることはない）
これぞラジオドラマの真骨頂、３０年以上が経過しても名作だと今でも思う。
そういうわけで、前作同様「なんで青いネコ？」と思いながらも
人間の顔をで描いてしまうより、
この方が原作のイメージを壊さなくていいと思った・・・
が！
最後に流れる歌がいただけない。
小田和正。
どうしてこんなにメジャーな歌手と具体的な歌詞を使う～！！
一気にイメージの世界から現実に引き戻され、
変な風に感傷的な気分になる。
「風の谷のナウシカ」でも同名のイメージソングを安田成美が歌っていたけど
流れるのは映画館の中とかテレビで放映するＣＭテロップのＢＧＭのみで
劇中にはない。
こっちも劇中で使用するのは避けて欲しかったなあ。
あの歌が流れるまでは良かったけど
流れたところで、
少なくとも私の抱いている宮沢賢治の世界はぶち壊しになった。
イーハトーブにふりかかる苦難が
現震災の状況と重なって
色々考えながら観てしまい、ちょっと辛い場面もあったけれども
歌はともかく、大人の鑑賞にも堪える映画でした。