「面白いよ」と渡されたのだが
本当に虜になって一息に読んでしまった。
紳士協定: 私のイギリス物語 (2012/03/22) 佐藤 優 |
私が生まれて初めて行った海外旅行はイギリスだったけれども
その時になんとなく感じたことや印象的だったことが
文章として可視化されている感じ。
自分の短いミーハー旅行と、明確な目的を持って臨んだイギリス滞在では
比べること自体が失礼なほどの差があるのに
読みながらあの頃のことがいろいろと思い出された。
観察眼が鋭い上に人に伝える能力が優れている人が
書くとこうなるのか!と感嘆した。
こんな本にはそうそうお目にかかれないので
さっさと読んでしまったのは勿体無かったな。
男性だったら佐藤氏とグレン少年との交流を
自分の少年期を思い出しながら読むんじゃないかと。
こんな賢い子は滅多にいないとも、身近にいたとも思える。
誰しもこんな風に
他人から見てダイヤの原石のように感じられる時期があるのかもしれないが
その魅力を引き出せたのは佐藤氏の導きあってこそで、
二人の出会いとその化学反応が眩しい。
5年後の再会描写では
グレンの未来への果てしない可能性が
大学に行かなかったことによって
ちょっと狭まってしまったのではないかとせつなくなるが、
それが不遇というわけではないんだろうな。
読み終わったらちょうどCSで
グレン少年と佐藤氏が二人で観た「戦場のメリークリスマス」をやっていた。
私も20年以上前に観て以来なんだけど
David Bowieも坂本龍一もビートたけしも
こんなに若かったんだっけとびっくり。
あの時は蛾のことまでいちいち考えなかったけど・・・
昔より泣けました。