桜が散って道路のツツジが一斉に花開き、美しい季節。
鍼灸院ですが、SINGERの足踏みミシンがやってきました。
自分で縫った治療着は縫い方が悪いのかよく面ファスナー部分がほつれるのですが
気づくたびに手縫いで補修する作業が結構面倒。
思いきって二階に簡易なミシンを買ってしまおうかと悩んでいた折、
祖父が先日百歳で旅立ち、それまで祖父の家で保管していた祖母のミシンをどうするかという話になって、私が仕事場に引き取ることに。
祖母に弟が生まれた時に買ったという話でしたから、1930年代だと思っていたら
製造番号G8794633をサイトで調べてびっくり、
アメリカ ニュージャージー州 エリザベス工場生まれ、1921年製でした。
おじいちゃんより年上だった。
「骨董品は運べません」とヤマト運輸に断られたので
夫がテーブルの裏のネジを4本外し、足部分とテーブルに分けて車で運びました。
叔母ではこういうことは全然わからなくて、これ、知識がなかったら運ぶこと自体が難しかったな。
結構な重さがありますが、運び込んだところで、果たしてこれは縫えるのか。
もし直らなければテーブルとして使おう、とりあえず見てもらおう、と
出張修理に来ていただいたのは千葉の安達ミシン商会さん。
この道40年以上の大ベテラン。そろそろ引退したら、とご家族からは言われているそうですが修理依頼があるのでやめられない、と。
78歳!お仕事続けていらっしゃる間に見ていただけて良かったです!!
途中で、ボビンは新しくした方がいいな、ありますか?と言われ・・・
手元にボビンなんてあるわけないけど、あるんだな!祐天寺の駅前には私が子供の頃からあるウエガキ手芸店さんが!
ウエガキさんとも以前にお話しした時、「そろそろやめたいんだけど
やめないでと皆さんから言われてね・・・」とおっしゃっていたので
もうこれは、奇跡のコラボレーションか。
安達商会さんも、へえ、駅前に手芸屋さんがあるんですかと驚いていました。
こちら、ミシンの革ベルトを切って穴を開けるためだけの、工具。
もちろん今では手に入らないそうです。
ここはなんでこうなってるのかなあ?と安達商会さんでも
わからない部分もあるようでしたが、革ベルトを交換し、大量にミシン油を差してあちこちを磨いていただき、ボビン部分を調整し、
2時間半後、普通に縫えるようになりました!すごい。
これが動くのを見たのは祖母が踏んでいる背中を見ていた小学生の頃以来、実に40年以上ぶりです。
しばらく雑巾を縫いながら、踏み方を練習します。
ボビンを巻く機構が、見ていて飽きません。
足踏みミシンは認知症や身体の不自由になった高齢者のリハビリにも良いそうです。
真っ直ぐ手前にしか縫えませんが、ほつれを繕うには充分。
私が死ぬまで使おうと思います。おばあちゃん、取っておいてくれてありがとう。
先日は40代の友人が「見るのも触るのも初めて!」と興奮してくれました。
アンティークミシンを踏んでみたい方はきよら鍼灸院へどうぞ。笑