風立ちぬ を観てきました


「風立ちぬ」を珍しく親子3人で観てきた。
夫、私、息子、3人とも楽しんだけれども
3人で、特に私と男2人の間には見方にかなり差があったと思う。
夫は
「計算尺で足を固定ってところでもうOKな映画」他いろいろ、
「女性には全然面白くないんじゃないの」
と言っていたが、そんなこともない。
実はこの主人公、たまに来る患者さんとすごく被るところがあるなあと思ったら
偶然にも数日後に来院していただいて、しかもすでに映画も見ていた。
意外にも、「つまらなかった」という彼とお互いに感想を語り合ったのだが、
(映画は自分の望んでいた感じと違って期待外れだったけれど)「二郎の生き方は憧れ」と言った。
やっぱりね、なんて思いながら
私は、もしあの時代に自分が生きていて目の前に二郎がいたら
何不自由なく育って頭も良くて、
いじめっ子を投げ飛ばす程度に身体も強くて
でも、飛行機のことばっかり考えててジコチューだし
相手の気持ちに寄り添うとか全然できなさそうで、
なのに結局恋愛もしちゃったりして、大嫌いです、と言った。
あれ、妹の視点でストーリーを語ったらほんと、どうしようもない兄ではないのか。
でもまあ、これはお話なんで、映画の中の二郎君、好きだけどね。
お嬢様で美しく薄命の菜穂子にはあんまり共感できないのが残念だが
そもそも、二郎君の家もお金持ちで庶民とはかけはなれた生活をしているわけで
劇中、ドイツ人のおじさんの言うところの「ピラミッドがある現代」
を深く考え始めたらあれこれ虚しくなるだけなのでやめておく。
二郎の追いかけた美しい飛行機や菜穂子との悲恋がどうの、じゃなくて
その背景で何気なく(?)描かれた小物や同僚たちの様子、街の風景が
妙にリアルに感じられる宮崎映画、相変わらず凄いなあと。
関東大震災から戦中、終戦まで、
今は亡き明治生まれの曾祖母や祖父がわずかに語ったあの時代が
どういうものだったのか、映画を観ている間中想像させられたというか、
行間を読む、言葉になっていないものを見ようとする、
そういうのが際立った映画だと思ったので
映画館で観られて良かった。
確かに、女子のための映画ではないけどね。
ちなみに息子からの質問で笑えたのは
「なんであんなに簡単に結婚を決めちゃうのか」
でした。
では皆様、良いお盆休みを。

この記事を書いた人

Saori Takano

「ここに来て良かった!」と心から言っていただける治療室を目指しています。
鍼灸治療は人対人の相性が重要だと思っています。
来院するかどうか迷っている方は
ざっと眺めていただいて参考にしてくださいませ。